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トラベラーウォッチ 二章… 過去

  • kh0824hk
  • 2016年10月13日
  • 読了時間: 3分

僕は眩い光に目を奪われていたが時間が経ちゆっくりと目を開けた。 「今のは…。なんだったんだ。」ふと反射的に言葉が心の中から出た。 今まで生きていてこんな経験は一度も無いはずだったのに何故か「はじめて」では無い感じがした。 そして僕は床で震えていた携帯電話を取り電話に出た。 「やはり…隼人くんあなたでしたか。私も最初に聞いた時は果たして真実なのか正直心の中で迷っていたのですが…

これは大変失敬な事でした。」 電話の相手は数秒前に僕と話した謎の人物トラベラーと名乗る男からだった。 「もう、これで私の指令はひとまず終了しましたのでこれにて…。」 一方的に電話は切れ僕は先程の一部始終を頭で考えていた。 こんな事現実に起きるはずが無い…。そうだ全て夢だ、頬をつねねば夢から覚めて。 そんな淡い期待を裏切るか如く肌には小さな痛みだけを感じた。 その後は特に何も起きる訳では無く僕の不思議な一日は終了した。 そして月曜日…。 今日は携帯を機種変更して気分が良いであろう井田太一が僕の家に来る予定になっている。 井田とは、保育園からの長い付き合いで17歳になった今でも交流を持っている。 「はやちんー!!おっはーよーうー!!」真昼間に甲高い聞き覚えのある声が響いた。 この甲高い声と異常な程までのハイテンションと良い僕が知っている中では一人しかいない。 僕は静かに玄関ドアに向かいおもむろに扉を開けた。 僕の予想は的中しドアを開けた先にいたのは井田だった。 「はやちんー!!久しぶりー!!夏はやっぱりいいもんですなー心までぽかぽかだなぁーっ」 一人で喋っていた井田を置いて僕は呆れ笑いでアパートに戻った・ 人間は何かに集中をしだした時や自分の話をしている時に「自分だけの世界」に入り込むとよくいうが、

井田の場合はその時間が圧倒的に長い。 毎日僕は井田と会う度に、あいつは一人で10分以上独り言を話し自分だけの世界に入り込んでいる。 よく、そのおかげで警察官やら街の人々、挙句の果てにはアパートに住んでいる住民までにも

不審者が近くにいますよ…と通報されたくらいだ。 いくら注意をしても井田の謎の独り言は止む事はなく繰り返し続いている。 あいつが独り言をずっと続けているのにはある一つの理由があった。 井田太一が生まれたその直後に母親は突然息を引き取った。 数々の医師が原因を調べても母親を死に追いやった理由は分からなかった。 そして、父親が病院に急いで駆けつけようと車で向かっている最中に父親は前方不注意で突っ込んできた

大型トラックに衝突し即死だったらしい。 そして、井田は親族の家に引き取られ育てられていたのだが当時5歳の誕生日に金目当ての殺人鬼が

家に襲いにきて井田を育ててくれた親族達は皆亡くなった。 幸い、井田だけは外で水遊びをしており殺人鬼達の目に入らなかった為に生き残る事が出来た。 「悲劇の子供」としてメディアを通じ日本中にそのニュースは広まった。 しかし、犯人の形跡や証言がなに一つ残っておらず現在も殺人鬼は行方不明なままだ。 当時5歳だった井田は「特別支援救済センター」と名のもとに引き取られた。 驚きだった頃にあいつの目には涙はなに一つ残っておらず「乾いた目」だけがそこにあった。 特別支援救済センターの判断で近くにあった保育園に井田をリハビリ目的として通わせる事にした。 それが僕とあいつとの初めての出会いだった。 …なんて過去の事を僕が思い出していたら井田の独り言が終わり家に上がってきた。 「はやちんー!!いちごミルク貰うよーん。」 僕が返事をする前に井田は慣れた作業で冷蔵庫を開きいちごみるくをグラスに注ぎ僕の元に向かってきた。 そして僕は井田に昨日起こった不思議な現象の数々をゆったりと話し始めた。


 
 
 

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